みんな意識を微睡ませて、ぼんやりしながら優先座席。わたしは扉近くの手摺りに身体を預けて、今日のこと明日のことそれ以降のこと、昨日のこと一昨日のことそれ以前のこと、色々なことに思いを馳せながらユラリユラリと脳天を揺らす。今日も又仕事の夢を見た。不安気な空気を吸って苦しかった。せめてあの場くらい、取り込めば取り込むほど楽になる成分が含まれていたなら素晴らしかったろうに。夢は夢を見させてはくれなかった。あああっと。
よく見る感覚、「この駅で降りなければ私、知らないところへ行けるかしら」、そんな感覚、わたしも味わいたい。実際の通勤には一度乗り換えが必要なんだけど、一本目の電車は終点まで乗るからそれ以上何処へも行きようが無い、二本目の電車は環状線だから、ループ&ループの輪に捕われて気付けばまた同じ所に居たりして。逃げられない。逃げ場が無い。いつだって逃げたいのに。あああっと!