露出魔に遭った。
私は駅までの道を全力で走っていた。職場のアルバイトちゃん(超絶可愛い)と夕飯を食べに行くのに、あろうことか電車に乗り遅れそうだったからだ。ウェッジソールのサンダルは走り難いことこの上無く、バドミントン部時代の自分が見たら泣き崩れるんじゃねーかコレ、と考えてしまうほどの速度であったが、それでも今現在の自分の精一杯の力を以てコンクリートの道を疾走していた。すると、向かいから若い兄ちゃんが歩いてきているのが見えた。ダボダボの白いティーシャツにズボン。黒いニット帽みたいなのを頭に被っていた。所謂ヒップホップ系というやつだ。微妙な体格の良さもまたありがちな…といった感じの人だった。
すると、兄ちゃんはおもむろにティーシャツの裾を捲り上げた。胸元からへそ周辺にかけてファ〜!と体毛が天の川のように生えていた(天の川好きな皆様ごめんなさい)おい公衆の面前で無意味に汚ねえ上半身晒してんじゃねーぞ!と思いながらも、汗を掻いたのにタオルやハンカチが無いので仕方無くティーシャツで拭いているのだろうと考え直し、あたしも部活してた頃はやりよったなーアレ!と感慨深くもなりつつ私は尚走り続け、その兄ちゃんとの距離はどんどん縮まっていった。
すると、兄ちゃんは勢い良くズボンとパンツを同時に下げた。
「あっチンコや!」
咄嗟に出てきた感想がこれだった。しかし何より急いでいた故に、私は特にこれといったリアクションを取る余裕も無いまま全力で兄ちゃんをスルーした。凄まじいスピードですれ違い、その後に「あれ?!今あたしチンコ見た?!」と驚き、バッと振り返った。兄ちゃんはもういなかった。細い路地裏に入る横道があったので、おそらくそこで曲がったのだろう。
私は「忍者か!」と思いながらまた前を向き、全力疾走を続けた。激しい動悸・息切れと引き替えに目的の電車に乗り込んだ私は、先程の出来事を反芻する。ヒップホップ系ヤングの兄ちゃんは何故健やかに明るい真っ昼間の住宅街で下半身を露出するに至ったのだろう。まぁ普通にそういう類の変態だったんだろうけども。もし私が普通に歩いて駅まで向かっていたらどうなっていたのだろうか。走るのを止めてまじまじと観察すべきであったか?つーかリアルタイムの感想が「あっチンコや!」「忍者か!」という非常にシンプルなふたつのみであるという事実にも愕然とした。バドミントン部時代の自分が知ったら(略)
どうでもいいこと言うと上記では響きや存在をより強調すべく片仮名でチンコって書いたけど個人的には片仮名じゃなくて平仮名の方が好きです。好きです?
(∪)←ちんこ!^^